「迷いびと」TIPS 
用語編 
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アサヒ電気株式会社(1話)
創業年月1996年1月、設立年月1998年4月。創設者(現代表取締役社長)は旭庄一郎。 
2005年に、従来からすれば画期的なパワー量の太陽光発電システムを開発し、企業向けに発
表。将来的には一般家庭に浸透させることも考慮に入れ、研究を続けている。 
ちなみに「電機」ではなく「電気」である。 

旭奈津(あさひなつ)(登場人物)
1995年4月30日生まれ、14歳。岩手県在住。 
県内私立中学校在籍。美術部所属。 
学校は各界お嬢様御用達の女子校(挨拶は「ごきげんよう」)だが、新興成金の娘であるところ
の奈津は肩身が狭い。成績は、地歴と体育を除きおおむね優秀。 
両親は仕事で忙しく、ほとんど祖父母に育てられた。「内向的だが意外にガッツのある子だ、き
っと将来大物になる」というのは孫バカの祖父の言。 

「あたし、ここ辞めるかも」(エレナ)(エレナの台詞)
志度が賀子に語った、料金を滞納していたために電話が来た、という話は嘘である。
エレナが志度のせいで辞めた、と思った店が、問い合わせ(という名の脅迫)の連絡を入れて
きた、というのが実際のところ。
通常、一人の嬢のためにそこまでする店はあまりないが、エレナは売れっ子であり、得意客か
らの予約も数多入っていたためである。

「あの手の男に女を寝取られたことでもあるのか。」(9話、湯田賀子の銀山純に対する
疑問) 
ある。 
去る5月17日、一年間交際していた娘に「ごめんね。純のこと嫌いになった訳じゃないんだけ
ど、医学部のホニャララ君のこと愛しちゃったの。LOVEなの」などと電話で告げられ、銀山は
めでたくロンリーウルフになった。 

「あの人結構鍛えてそう」(8話、銀山純の志度亮介に対する所感)
志度は毎週末には大抵、隣駅にあるジムに通っている――と同僚や友人に語っている。 
ちなみに志度が一人暮らしをしているマンションは目黒にある。山手線なら両隣は恵比寿と五
反田。五反田といえば、都内屈指のSM風俗激戦区だが……。 

アメリカン・スピリット(13話)
化学添加物を一切使用していない煙草銘柄。 
特に井上の愛飲する赤パッケージ「オーガニック」は、有機栽培の葉だけを使用している。 
ちなみにもちろん井上は、健康というよりは味を重視している。 

「いなくないか?」(13話、水野栄介の台詞) 
「いないのではないか?」の意。 
方言と、元々口があまり良くないのと、若者言葉にもそれほど抵抗がないのとが混じり、水野
栄介はわりとくだけた話し方をする。 
「いなくなくなくないか?」等の言い回しで、周囲を混乱させることもしばしばである。 

井上春先(いのうえはるさき)(登場人物) 
1958年2月5日生まれ、51歳。兵庫県在住。 
県弁護士会所属、県内法律事務所勤務。売れなかったが、著書数冊。 
やり手ではあるが、実は結構、悪徳で名を馳せている。暴力団との癒着も囁かれているが、実
状は闇の中。 
近頃の悩みは、23歳になる娘があまり口をきいてくれないこと。 

ウィスタリア法律事務所(22話)
開設は1994年12月3日。代表弁護士は藤堂隆之。
一般民事事件から商事法務、刑事事件、家事事件、労働事件、倒産処理、医療訴訟等を主
体として取り扱う。
当初は「藤堂隆之法律事務所」になる予定であったが、所内から「てめー! 誰のおかげで開
業できるんだ!」などと意見が出たため、最終的に藤の字だけを冠した。

エレナ(エレナ)
本名、斉藤澄香(さいとうすみか)。
事務所のプロフィールでは二十歳ということになっているが、実際は二十四歳である。
ふんわりとした印象の容貌に似合わず、オラオラ系。「ほらトロトロしないで!」「声出して行き
なさい!」など、言葉だけ聞いていれば体育会系である。

大きな図体(21話、井上春先による銀山純への評)
銀山の身長は174センチメートルと平均的であるが、肩幅が広く、全体的な骨格もがっしりし
ているため、やや大柄に見える。
他の人物の身長は以下の通り。
井上春先175 水野栄介170 志度亮介181 湯田賀子164 旭奈津148 因幡和枝155
ちなみに男性陣の中で、志度は一番座高が低い。

「おとうさん」(0−1、志度亮介の回想)
志度の娘の名は「志摩子」であり、自分たちを「お父さん、お母さん」と呼ばせていた。
井上の娘の名は「瑞穂」であり、「パパ、ママ」と呼ばせている。
志度のマンションの便所はこだわりの和式、井上の自宅のトイレはウォシュレット付きの洋式
である。
また就寝時には志度は浴衣、井上はガウンを着ている。

隠り世(12話)
あの世。黄泉。読みは「カクリヨ」。「ここがカクリヨじゃないなんて、ガックリよ!」 

銀山純(かなやまじゅん)(登場人物)
1988年11月9日生まれ、20歳。北海道在住。 
道内国立大学教育学部在籍。将棋部所属。 
両親ともに高校教諭だが、どちらかといえば放任されて育つ。 
子供の頃から勉強しなくてもできるタイプで、運動もそこそこ。大学での友人は多く、家庭教師
先の生徒にも懐かれている。 

銀山純の腕時計(1話〜)
目次欄でも活躍している、ノーブランドだがちょっといいデジタル時計。 
銀山の父(数学担当)が、同僚の女性教諭(英語担当)から誕生日プレゼントして贈られ、断り
きれず困った挙句に、息子へと流した品。 
銀山家は全員がそれらの事情を承知しており、微妙な気持ちを抱いているが、純は便利なの
で愛用している。 

銀山純の叔母(20話)
銀山美咲(かなやま みさき)。
義姉である純の母と仲がよく、幼い純をよく預かっていた。
この叔母のせいか、もともとそうであるゆえに彼女に惚れたのかは判らないが、純の好みは年
上で、ミステリアスなタイプの、ややきつい顔立ちをした美人である。

カロリーメイト(3話〜)
大塚製薬株式会社の製品で、「11種類のビタミンをはじめ、6種類のミネラル、タンパク質、脂
質、糖質、食物繊維を無理なく補給できるバランス栄養食品」。作中に登場しているのはブロッ
クタイプ。 
実際これだけを食べ続けていると、やはり栄養が偏るとのことなので、良い子は真似をしては
いけません。 
ちなみに「ドライフルーツが食えない」のは銀山で、「チーズが駄目」なのは志度。「野菜味がだ
め」なのは奈津。好き嫌いしている場合ではない。 

「グロい」(16話)
水野節。「グロテスクである」口語活用。 

こちらの両親は海外にいる(0−1)
志度亮介の父親は医師であり、海外で医院を開業している。
夫婦はそのために永住権を取得し、ここ数年、日本には戻っていない。
それが志摩子を母親側に取られた一因でもある。

小宮山めぐみ(こみやま ―)(0−1)(志度亮介関係者)
志度の元妻。元は小さな仕事をまめにこなすフリーランスのイラストデザイナーだったが、現在
は辞職している。
実家はそれなりの規模のギャラリーであり、めぐみの作品も数点展示している。
仕事の評価はそれなりに高く、センスの良い美人で、あらゆる人付き合いもそつなくこなす。
志度とは似合いの夫婦と見られていたが、外からは見えない事情が存在したようである。

コリオリの力(5話) 
回転座標系上の移動において、移動方向の垂直方向に、移動速度に比例した大きさで受ける
慣性力の一種。 
ちなみに北半球・南半球ではすべての渦巻きが逆になる、と言われている(作中では志度がそ
う思っている)向きがあるが、実際、小規模なものはその限りではない。 

貞子(16話)
鈴木光司のホラー小説「リング」の登場人物。 
テレビの中からこんにちは。 

じいさんはあれだけど(9話)
水野栄介とてまだまだ現役である。

獅子身中の虫(15話)
獅子の体内で養われている虫が、かえって獅子を滅ぼすという意。 
転じて、内部にありながら、その組織などに害を与える者。 
例として、ピー党のズギャン議員など(当局により検閲削除)。 

「志度はもともと、他人に対してそう強い感情を抱くことはない」(0−1)
彼を知るほぼすべての人間が「意外だ」と評するが、志度亮介には友人が少ない。学生時代
から現在に至るまで。
正確には、友人であると志度が思っている人間が少ない。

志度亮介(しどりょうすけ)(登場人物)
1976年7月20日生まれ、32歳。東京都在住。 
大手エレクトロニクス商社営業部勤務。業績は優秀。 
離婚歴あり。六歳になる娘の親権は妻に持って行かれたが、月に一度会えるのが楽しみ。 
わりと読書家で、会社帰りに駅構内の書店に立ち寄るのが日課。文学作品は女性店員から、
一見して「これは……」と判る書籍は男性店員から購入する。 
ここ最近の愛読誌は「PRESIDENT」と「スナイパー」。 

スナッフフィルム(2話) 
実際の殺人の様子が収められた映像のこと。 
都市伝説としてまことしやかに囁かれ、ホラー映画等にもよく登場する。 

「その背中にいつも、薄暗い不幸の陰を滲ませていたあの人のことを」(0−2)
他人にどう見えていようとも、銀山美咲は幸せだった。

互いに面識はない(触れ込み文) 
実は、これは正確ではない。 
水野栄介は井上春先を、井上春先は水野栄介(と旭奈津)を知っている。 
それが偶然にせよ必然にせよ。またそれを語らない理由が、打算であれ忘却であれ。 

「脱獄もできんし、罠も見破れない」(17話、水野栄介の台詞)
メディア編TIPS取扱「CUBE」に登場する最年長人物「脱獄王」と、自分を対比しての暗喩。 

鳥取砂丘(1話)
鳥取県鳥取市に存在する、南北2.4km、東西16km、最大高低差90mの、日本最大規模を誇る 
大砂丘。ラクダにも乗れる。 
ちなみに七人のうち、ここを観光したことがあるのは井上だけである。ラクダにも乗った。 

「二万円のパンプスは、二枚目の面に二度目の打撃を与える寸前で〜」(12話、湯田賀
子の実況)
この前には「足音の主やら、そういうことも二の次だ」という文章もある。 

バツイチ(7話)
離婚歴のある人間を指す。男性を三割増し、女性を五割増しでセクシーにする称号。 

「母親は美人なのかも知れない」(13話、湯田賀子の旭奈津に対する所感) 
実際のところ、端正な顔をしているのは父親(庄一郎)である。 

パラドックス(14話)
一見すると筋が通っているように思えるにもかかわらず、明らかに矛盾していたり、誤った結論
を導いたりするような、言説や思考実験などのこと。  
奈津が語るのは、ゼノン提唱の「アキレスと亀」のメタファー。以下のような話である。 
『アキレスと亀が徒競走をすることになった。足の速いアキレスへのハンデとして、亀はいくらか
進んだ地点(地点Aとする)からスタートする。 
スタート後、アキレスが地点Aに達した時には、亀はアキレスがそこに達するまでの時間分、先
に進んでいる(地点B)。 
アキレスが地点Bに達した時には、亀はまたその時間分先へ進む(地点C)。 
同様に、アキレスが地点Cの時には、亀はさらにその先にいることになる。 
この考えはいくらでも続けることができ、アキレスは永遠に亀に追いつけないことになる。』 

ピーカン(13話)
雲ひとつない晴天の形容詞。 
紙巻き煙草「ピース」の缶が青色であったことに因むため、オッサン語のイメージが強い。 

人のいない森で倒れる木は音を立てない(16話)
人と自然、哲学の命題である。 
あの場面の賀子は、知覚できない(己に一切の直接的干渉をしない)ものは、存在しないことと
同義である、というもっとも表面的な意味でこの言葉を思い浮かべている。 

ホームレス(7話)
定まった住居を持たない無頼漢。 
現在の七人がこれに該当するかどうかは、ジャッジの分かれるところである。 

「やっとれんでな」(17話)
水野節。「やっていられませんわ、このスットコドッコイ!」の意。 

「やっぱ、昼とは温度差があるんだなあ」 (7話、水野栄介の呟き)
この日の日中は摂氏22度、発言当時は13度前後だった。 

湯田賀子(ゆだかこ)(登場人物)
1986年12月12日生まれ。22歳。福岡県在住。 
中堅証券会社経理部勤務。一般職。 
何も不足なく、また過分もなく生きてきたが、変わり者との評を下されることが多い。仕事は可
もなく不可もなくこなすが、職場での評判(特に男性社員から)は良くはない。 
男性遍歴はわりとろくでもなく、当人もなぜ付き合っていたのか思い出せないような相手が多
い。 

ゆっくりと唇に指をあてた(22話、湯田賀子の仕草)
旭奈津も同じく「考えごとをする時、唇に触れる」という癖を持っている。
セクシーだが、欲求不満に見えないこともない仕草なので、女性諸氏には注意を呼びかけた
い。

「夢というよりも予定」(20話、井上春先の台詞)
現実主義者の井上は、こうした言葉の使い分けを当然のように行う。
それを冷たいと感じるか、優しいと思うかは、受け手の感性に依存する。
銀山は比較的、後者に近い感情を抱いたようだ。

レッドテグー(21話、湯田賀子のペット)
学名、Tupinambis rufescenc。
アルゼンチン北部に分布するオオトカゲ。名前の通り、表皮が赤く美しい。
成長すると全長1.2メートルほどにもなり、賀子の部屋では一大オブジェと化している。
ちなみに井上に対し「友人から譲り受けた」と語っているが、その友人というのは、別れた男の
ことである。

若いうちにだけ聴こえる周波数帯(22話、井上春先の台詞)
人間の可聴周波数は、おおよそ20Hz〜20,000Hz (20kHz)といったところである。
この可聴領域は、歳を経るごとに狭くなっていく。
しかし、可聴周波域を超えた高周波成分も、音として認識されることはないにせよ、人間の心
理に影響を与えることがある。

「私の、お父様は、私の誕生日なんて、覚えて、いません」(15話、旭奈津の台詞)
毎年四月末日に行なわれるアサヒ電気の設立祭は、ひそかに社長令嬢の生誕祝いを兼ねて
いるということを、ほとんどの社員は知っている。 



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