迷わせびと

「迷いびと」読者考察

随時追加　最新項色替え
現在は本編２２話まで＋掌編「志度亮介」の時点での考察です
・正解か否かに関わりなく、厳島が「よく読んでるなー」「おもしろっ」「するどい！」「なるほど、そういう来るか」と
思った意見をまとめています
・原文のままではなく、厳島がチョコチョコリと手を加えています
・一部、数人の考察を接ぎ合わせています
・こっそり「厳島が読者ならここが気になる」ということも追加しています。実際それが重要であるかどうかということに
関わりなく

【考察　場所】

・カラハリ砂漠？
６月という時期で、１３度～２２度で雨気のない気候、さらに１０時間前後？　という時差を考慮すると、大規模砂漠の中ではかなり臭い。

・まさかまさかの鳥取砂丘？
この場合、出国審査の問題が完全にパスされる。
全員の腕時計を弄るくらいわけないはず。賀子の意見はあくまで「賀子の意見」であり、何ら事実を裏付けるものではない。
賀子の主観にそれほど客観的信憑性がないことは、銀山の視点などからも証明されている。

・日本ではないだろう。
６月末といえば日本は、沖縄・北海道・小笠原諸島を除き梅雨の只中である。
夜間肌寒いことから沖縄・小笠原諸島も除外する。
北海道には砂漠地帯が存在しない。

【考察　賀子の聞いた足音】

・監視者。
存在する理由は本編で奈津と賀子が論じた通り。今は隠し部屋などにいる？
「さすがにこれだけ時間が経つと、隠れている人間などいない、ということが確信できるようになっていた」というのはあくまで賀子の個人的判断である。
この場合、志度の立場が曖昧になる。故意に嘘をついた協力者か、本当に気に留めていなかっただけなのか。

・８人目の被害者。
７人を敵であると疑い、隠れ続けている。
建物は広く、７人はだいたい一緒に動いているので、隠れるのはそう難しいことではないだろう。特に「水の流れない水洗トイレ」などは立ち入る人間もいないはず。

・ただの反響。
志度の意識に残っていなかったというのも納得できる。

・「幽霊」の足音。
一緒にいたのが志度ではなく、銀山だったら、もしかすると面白いことになっていたかも知れない。

・空耳。
銀山の言う通り疲れていた。

【考察　水野の犯罪歴】

・「替え玉」を使えるほどの身分となると、何らかの組織で相当な地位についているはず。
政府関係者？
井上春先との関係も考慮すると、暴力団関係者という方があるか？

・学生運動？　内ゲバ？
「死体じゃねえな。爆弾か？」という発言を起点とし考察。
通常、死体や爆弾などというものは身近に存在せず、口をついて出るものとしては適当ではない。だが水野にとってはそうではなかった？　すぐに想起するほどそうしたものが身近に？
２００９年現在６２歳。それが正しければ、１９４６～７年生まれ。全共闘運動全盛期に大学生ということになる？　大学紛争参加者？
爆弾と口にするということは、赤軍の方か？　そういったグループの実力者だとすると、替え玉という存在も理解でき、井上が水野を知っているというのも納得がいく。

・外国人の血が入っているとするならば出稼ぎ労働の線も？
その経緯で人を殺した？

【考察　アサヒ電気社長邸宅侵入】

・有人監視をくぐりぬけたということは、かなり手の込んだ計画だということだろう。
都合のよいルートを選んだにせよ、何らかの手段で警備員を誘い出したにせよ、あるいは殺害等の手段で排除したにせよ。

・家族に協力者がいた場合、この問題は完全にパスされる。

・警備員がもともと協力者？　買収された？

【考察　バックボーン全般】

仮説１：
「全員、何らかの組織に売られた（差し出された）」

根拠：
それぞれ家族と仲違いしているのでは、という考えから着想。この場合、拉致の手口が鮮やかだったことに説明がつく。
湯田、志度、井上は作中で「家族とあまり親しく接していない」ということが表記されている。
奈津は祖父母に可愛がられていたようであるが、実権を握っているのは、あまり接触しない両親の方であろう。
銀山のあまり裏表のない性格（彼に関しては、聡明さは完全に能力的なものであり、生来のものであろう）を考えると、家庭は円満そうだが、共働きの放任主義というのが懸念事項。また「霊感」に対して、教職の人間がどう反応したのかというのも気になる。
水野は家族に関して「孫」のことしか話に出さない。妻は？　子供とも別居か？
因幡は、わざわざ雨の中を迎えに行ったということは、夫婦仲は円満そう？　という気もするが、やや時代錯誤の亭主関白とも取れる。

ネック：
資産家で社会的地位もある旭家が、娘をそんな状況に出す理由があるだろうか？
またそこまで仲が悪かったなら、誰かひとりくらい「家族が売った？」ということに思い至ってもいいのではないか？

仮説２：
「奈津や水野が提唱するように、何らかの実験のため拉致された」

根拠：
作中で論じられている通り、「能力水準の高い老若男女を全国から」と考えて無理のない人選であるように思う。（未知数の因幡は除くとしても）
むしろ、これだけの人間が揃うのは、偶然ではありえないだろう。
水野は自称なので置いておくとしても、賀子のことを考えるに、学歴で選別されたわけではない模様。ということは、かなり詳しく個人のことを調べている＝黒幕は相当大きく、緻密な情報網を持っている。そういう組織ならば、さらなる新しい情報を必要とするのではないか？

ネック：
作中で賀子も言っているが、アサヒ電気が黙っていないのでは？
それにさえ圧力を掛けられる組織か？

仮説３：
「金に困った人間たちが、報酬を目当てに自分で集った（何に、というのはひとまず置いておく）」

根拠：
この場合、出国審査の問題は完全にパスされる。
井上が金銭に執着する性質であることは明らか。
慰謝料、養育費、風俗通いと出費のかさむ志度も金はあるに越したことはないだろう。あるいはすでに借金があるのかも知れない（彼のようにスマートなタイプの人間は見栄が強く、どんなに困っていたとしても衣食住を削らないことがある）
水野は殺人がらみで金が必要？
湯田、因幡は不明だが、際立って裕福ということはないのでは。医学部進学の学費を懸念していた銀山も同じく。

ネック：
資産家の旭奈津が浮く。事業に失敗などがあり、娘を売るほど切迫した事態になっていたのなら、井上や志度などが知っていそうなものである。
井上は拝金主義でも「利己至上主義」というのがさらなる大前提にありそうなので、苦しいか……。博打に出るタイプでは決してなさそうで、美味しい話に引っかかるほど迂闊にも見えない。

仮説４：
「全員アンドロイドで、過去の記憶をメモリされ、一斉に起動した」

根拠：
全員知能指数が高いのは間違いなさそう。また画一的ではなく、それぞれ個性のある知性を確立させている。実験体っぽい。
容貌も比較的整っている？（少なくとも賀子と志度は確実）
「賀子」で「かこ」と読ませる名前はわりと珍しい。「過去」にかけているのではないか？
賀子はなんだかロボっぽい。
アンドロイド＝生体部品＝医療分野＝ドイツ。パネルの文字はこういう示唆なのでは？

ネック：
この場合は何でもアリになるので、特になし。

仮説５：
「地球滅亡。この世界はすべて砂漠と化し、建物だけが残っている」

根拠：
逆に考えるんだ！　自分たちが巻き込まれたんじゃない……自分たち以外がすべて巻き込まれたんだと！
あえて舞台が２００９年というのは、「環境が変化している可能性」をあらわしているのではないか。

ネック：
全国各地にいたはずの人間が一箇所で目覚めたのはなぜ？
水などは誰が用意したのか？　シェルターなどにしては脆そうな気が。

仮説６：
「全員、成仏できないでいる幽霊である」

根拠：
霊感のある銀山が霊を見たり見なかったりするように、霊である賀子も「建物内を歩く生きている人間」を見ることが出来ないのではないか？
因幡は、銀山の逆で、生きている人間を見ることが出来る。
このように考えると、因幡の謎めいた行動や発言に納得が行く。

ネック：
この場合もほぼ何でもアリになるが、彼らは食事をしているのでは？

【その他、気付いたこと・気になったこと（人物別）】

旭奈津
・聡明さは英才教育によるもの？
・資産家の邸宅とはいえ、トイレまで自室にあるのは尋常ではないのでは。隔離されていた？

湯田賀子
・なぜろくでもない男によく引っかかったのか？
・男に対してやけに無防備なのはなぜか？　元の性格？
・生理用品を持ち歩いていない？　妊娠している？
・「湯田」＝「ユダ」？
・頭痛持ちである様子はうかがえない。なぜ頭痛薬を持ち歩いているのか？　

井上春先
・成人している年の娘に口をきいてもらえないほど嫌われているというのが気になる。何か明確な「嫌われる理由」のようなものが存在する？
・「外に女がいるというのは事実無根」と言っているが、それは本当だろうか？
・悪徳事業に手を染めなくとも順風にやって行ける腕はありそう。つまり大金が必要なバックボーンがあるのでは？
・水野との関わりとは一体？　人間的には合わないように思えるので、「悪徳」の方の仕事関係か？
・「悪徳」とは一体どんな仕事か？　彼の潔癖的なまでの倫理観を考えると興味深い（確かにそれに反しない限りは、かえってどんな手段も取りそうではある）

志度亮介
・風俗で即離婚というのは厳しすぎるのではないか？　他にも何か原因があったのでは？
・砂漠で賀子と揉み合った時、本当に下心はなかったのか？
・彼の性的倒錯は生来のものか？　原因があるのか？
・階段が怖いと言ったが、銀山を追いかけた時は素早く降りているのでは？　嘘？　夢中だっただけ？
・離婚の際の慰謝料・養育費を払った上で、目黒のマンションに住んでいるということは、現時点ではかなり金銭的に余裕があるということだろう。いくら大手商社勤務とはいえ、３２歳の会社員にしては裕福すぎる……？　実家が裕福なのか？なにか裏があるのか？
・両親が海外にいるということは、もしや志度はハーフ？　整った容貌はそのため？　「外国人の血が入っているようにも見える」水野と何か関連が？
・「自分ではよく覚えていないトラウマの原因」が気になる。３０過ぎまで後遺症を引きずるような恐怖体験を忘れるだろうか？　幼少期の記憶が曖昧？
・全員が座を囲み、最後の記憶を辿っていた場面で、彼だけが状況を語っていない（水野が彼の順番を飛ばしたため、発言権が奪われている）

水野栄介
・（賀子も言っていたが）志度と一緒に行かなかったのはなぜか？
・「死体が入っているのでは」という冗談は、本当にただの冗談だったのか？
・本当に俳優なのでは……。

銀山純
・水野の「片目」発言の時系列からして、彼の「感覚」は、少なくとも「その死に水野が関わった男を見た」という部分は信用するべき。ただしあくまで、「水野が殺した」と断定はできない。水野の自白には裏づけがない（何かの比喩で「殺した」という表現を取ったのかも知れない）し、銀山の「水野が殺したのだろう」という予測にも客観的根拠はない。
・彼の夢は本当に「夢」だったのか？
・霊感の件を言い渋ったことからも判るように、彼は他人からの評価に敏感である。また年齢の割りにしっかりとした客観的視野を持ち合わせていることから、自己防衛本能が強いと思われる。幼少時などによほど傷つけられた経験が？
・彼の叔母も同じ事態に巻き込まれたのではないか？

因幡和枝
・足音の件を話していた時の「そうね。空耳とは言わないのかも知れないわ。そうね。いるのよ。だけど探したりなんかしても無駄よ」という言葉はどういう意味か？
・銀山が見た「血まみれの女」というのが因幡本人ということはないだろうか？
・最初の談合での「私のところは……埼玉なんですけど。」なぜ間を置いた？
・当初、電話や水を調べてくると勇んでいたが、この時の積極的な行動と、以降の諦めて絶望的になったかの様子があまりに違う。
・因幡といえば「因幡の白兎（出雲神話）」。ウサギといえば不思議の国のアリス。ウサギは、アリスを不思議の国へ連れてゆくもの。ナビゲーター？

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